今回のテーマはずばり「ホワイトニングってどうなの?」っていう話です。
最近話題ですよね。まず、定義を調べてみました。
ホワイトニングの定義
ホワイトニング(英: whitening)とは白くすること。美容上の用語として用いられることが多く、化粧品の分野では肌の美白の意味で、審美歯科の分野では歯を白くする意味で用いられる用語である。
歯科におけるホワイトニングとは審美歯科の一分野であり、広義の意味では歯を白くすること全般を指す。例えば歯のクリーニング (PMTC) から始まり、ブリーチング、マニキュア、ダイレクトボンディング、ラミネートベニヤ、セラミッククラウンまで、すべてをホワイトニングと称することができる。狭義の意味ではいわゆる「ブリーチング(歯牙漂白)」のことを指し、一般に使用されているホワイトニングはこのブリーチングのことを指すことが多い。(引用:Wikipedia)
つまり、ホワイトニングをしているといっても、種類をしているかによって効果もコストも期間も変わってきそうです。では、そこを少しずつ噛み砕いていってみます。
ホワイトニングをしたら芸能人みたいに白くなるのか
テレビや雑誌などでみる芸能人の歯はとても白くてきれいです。ポスターやスクリーン上で口元まで拡大して見られる機会が多いタレントや俳優、モデルなどを筆頭に人前に出ることの多い方は、ホワイトニングの中でも白くなる度合いが高い方法を選ぶ傾向にあるようです。
一般的なオフィスホワイトニングをより効果的に行うことで、いわゆる芸能人レベルの白さを目指すことは充分に可能です。ただし、特に突出して白さの目立つ方は「ラミネートベニア」という、もともとの歯を一部削った上に白いかぶせ物をする方法を行っている場合が多く、これは通常のオフィスホワイトニングとは方法も仕上がりも全く異なるものです。人工の白い被せ物により、自然な白さを超越した白さに見せることが可能になります。
なので私たちがイメージしている芸能人の歯の白さは自然のものではないことが多いようです。
歯が着色し、黄色く見える理由
歯の表面にはさまざまな着色成分が付着しています。お茶やコーヒーに含まれるタンニンと呼ばれる色素やタバコのヤニ(ニコチン、タール)などがステインの原因として知られています。
これらの色素が歯の表面にある「ペリクル」という成分に付着することでステインとなり、やがて歯が黄色く見える「着色汚れ」となっていきます。
その他にも、加齢と共に半透明のエナメル質が磨り減る一方で、内部の象牙質は厚みを増していくため、磨耗したエナメル質から象牙質が透けることで歯が黄色く見えるという〈内部からの歯の変色〉も進んでいきます。
歯が白くなるしくみ
ホワイトニング薬の成分として採用されている過酸化尿素や過酸化水素は、前述の〈着色汚れ〉を無色透明に分解する働きがあり、これにより歯が白くなります。また、これらの成分は歯の中に含まれる色素も分解し〈本来の歯の色自体〉も白くする「ブリーチング効果」があります。
また、加齢とともに進む歯の変色に対しては、「マスキング効果」と「ブリーチング効果」が歯を白くみせていきます。マスキング効果とは、過酸化水素がエナメル質表層の構造を変化(角状→球状)させることで光の乱反射を起こし、エナメル質を曇りガラスのように白く見せるしくみです。
ホワイトニングはこのような複雑なしくみにより歯を白く見せていきます。
ここまでくると、ホワイトニングすると自然な白さを手に入れられる!と思う人が多いですよね。
しかし、おもったよりも白くならなかった感想をもつ方もいるのではないでしょうか?
思ったよりも白くならない歯の特徴
ホワイトニング剤を使用しても、あまり効果が出ない人がいます。
効果が出る人と出ない人、何が違うのでしょうか?
・フッ素(フッ化ナトリウム)コーティングをしている
フッ素が含まれている歯磨き粉が最近は人気が高く、数多くの商品が販売されています。フッ素はエナメル質を虫歯菌の出す”酸”に対して溶けにくい質に変化させる働きがあり、フッ素を塗ることで新たな虫歯を作りにくくする効果が期待できるため、歯磨き粉だけでなく歯科医院でも虫歯になりやすい子供や定期検診で初期虫歯ができていた人が塗るということが多いようです。
しかし一方で、フッ素にはホワイトニング剤が歯に浸透するのを阻害してしまうという作用があるため、フッ素コーティングをしている人はホワイトニングの効果が十分得られないことがあります。
ただし、ホワイトニングをした後であればフッ素コーティングの利用は推奨されています。
・着色成分が強くこびりついている・歯垢がある場合
着色成分が歯の表面に多く付着している場合は、ホワイトニングで思うように歯が白くならないこともあります。さらにプラーク(歯垢)が歯に付着していると、ホワイトニング薬剤が歯に浸透しにくくなりますので、歯石がついている場合は、まずは歯石取りをしてもらってからホワイトニングをすることをおすすめします。
解決策
・ホワイトスポット
人によっては、歯の一部が白くぼけやている人もいるのではないでしょうか?
これは「ホワイトスポット」と呼ばれるものが考えられます。
ホワイトスポットとは、歯の表面にまだらにできる斑点状の白濁です。ホワイトスポットの原因としては、エナメル質が形成される8歳までに栄養が足りていなかった・肺炎などにかかった・虫歯による炎症などがあると言われています。また、大人になってからでも虫歯菌などが原因の「強い酸」などを放置しておくと、エナメル質が溶け出してホワイトスポットになることもあります。
こういったホワイトスポットを解決する手段の一つとしても、ホワイトニングが有効と考えられています。ただし、ホワイトニングでホワイトスポットがなくなる訳ではありません。ベースの歯の色が白くなることで、ホワイトスポットが目立つ原因となっていた「色の差」を軽減できるという点でホワイトニングが役立つというものです。
・テトラサイクリン歯
抗生物質の利用経験を原因とする歯の変色があります。抗生物質は数多く種類がありますが、その中でもテトラサイクリン系の抗生物質は歯へ着色を起こすことで知られています。中でも8歳までに多くのテトラサイクリン系の抗生物質を服用していると、歯の本来の色自体が黄色やグレーなどの色に変化してしまいます。
ホワイトニングで多少はこの変色を改善することができますが、完全に白くすることは難しいとされています。軽~中度の場合、解決策の1つとしてホワイトニングを利用することをお勧めできますが、重度の場合はラミネートベニアや被せ物、マニキュアなどのホワイトニング方法をお勧めいたします。
ホワイトニングができない人
ホワイトニングには効果が出にくい人だけではなく、ホワイトニング自体が推奨されていない人も存在します。
・妊娠中および授乳中の女性
妊娠中・授乳中の女性はホワイトニングを控えましょう。理由としては、まだ妊婦や胎児へのホワイトニングが与える効果や影響の研究が十分ではなく、安全性が保障されていないからです。
・無カタラーゼ症の人
無カタラーゼ症の患者さんはホワイトニングをすることはできません。カタラーゼには、ホワイトニング薬の成分でもある過酸化水素を分解する働きがあります。カタラーゼがないということは、過酸化水素を分解することができず、結果として過酸化水素が体内へ残ることになります。
過酸化水素は体内でも生成されていて、通常はカタラーゼにより即座に分解されるため無害ですが、体内に長時間・高濃度で残ると組織を壊死させてしまうこともあります。(※)
※:ホワイトニングで使われる過酸化水素は、歯以外につかないよう防護をしたり、専門家(歯科医師・歯科衛生士)のみ歯への取り扱いが許可されています。(薬機法)
・歯の神経が死んでいる人
大前提として、神経が生きているか死んでいるかでホワイトニングの方法が異なります。歯の状態に合っていないホワイトニングを行うと、効果が出ない場合もあるので注意が必要です。歯科医師に相談の上、判断してもらうことをお勧めいたします。
・歯に詰め物をしている人
詰め物が入っている場合、詰め物に対してのホワイトニングを行うことはできません。厳密には、ホワイトニングは行えるものの詰め物自体への効果が出ないといったほうが正しいかもしれません。
理由として、詰め物の色と歯の色の原因が異なり、詰め物本来の色はホワイトニングで分解することができないからです。
他にも、大人の歯が生えそろっていない人や象牙質形成不全も一般的なホワイトニングはできないと言われています。(※ポリリンホワイトニングは乳歯へのホワイトニングも可能です。)
以上を踏まえて、自分に合ったホワイトニングを実施できるとよいと思われます。